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泡の個数が〇〇億個?

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みなさん、こんにちは!

時間が取れましたので、昨日に続き、連投させていただきます!!

 

さて、巷のシャワーヘッドCM、

1mlに、〇〇億個の気泡が含まれています!!

 

だから何? …ですよね。 すみません。

想像できないですよね。コレ。

 

で、これ、皆さんの疑問的には、

 

気泡が多いと何がいいの? 

本当に泡の個数は正しいの?

 

ということですよね。

 

以下、説明させていただきます。

 

1.気泡が多いと何が良いの?

 理論的に考えれば、一定量の水の中に存在できる

気泡の『体積』は、気泡の大きさにより決まります。

 

 気泡の個数が多いということは、洗浄などにおいて

それだけ粒子の数が多い(細かい)ので、その分、

汚れと出会う確率(表面積)も大きくなります。

 時間をかければ汚れは落ちやすくなるので…

その原理に似ています。

 

 しかし、気泡が多いからと言って、洗浄力との相関が取れているかと言えば…

実はきちんとしたデータはほとんど無かったりもします。

つまり、再現性をとることが難しいんですよね。

 

それがなぜかと言えば、これらの現象を

定量化(数値で表す)すること自体が、極端に難しいからです。

 

 つまり、プールのような広さに、青いインクを一滴垂らして、

どのくらい青くなったか?

なんてことを数値化するのに近い感覚ですよね。

(ちょっと違うか…)

 

 その時の、温度、水質、水量、気泡の性質、汚れ具合…など

いろんな要素が絡んでくるので、まずは、実験方法を

しっかり確立する必要があるんですね。

 

 ましてや1mlの中に気泡が〇〇億個、含まれているからと言って、

例えば洗浄に必要な100Lの水にそれだけ満遍なく、

気泡が含まれているかと言われれば違うでしょうし、

試験管の中の状態と、現場実用化のレベルも違うわけですから…

 

カオスのような、ゆらぎのある中での議論なので難しいですね。

 

 このため、洗浄に対してだと、微細な気泡が

「少ないよりかは、沢山あった方が良い」

と言えるくらいでしょうか。

 

 エネルギーを外部から与えて作っている水ですから、

エネルギーを与えた分だけ、汚れを取ってくれないと困りますけどね。

 

2.気泡の個数について

 次に、気泡の個数についてですが、そもそも現時点では、

正確に気泡の量を測れる測定機器は存在していません。

 

…もう一度、大切なことなので言います。

正確に気泡の量を測れる測定機器は存在していません。 

 

 えー、だって、CMとかで流れてるじゃん!!

 

ね。いつの世も、売り文句、ってやつですよ。

 

それ、実際、誰かきちんと確かめたんですか?

 

…ですよね。

 

 確かめようのないものを、おそらく〇〇だ、と言っているに過ぎません。

(これを定性的、おそらくこうだろう、ということです)

定量的に数値での確定は出来ません。

 

 これは、この気泡の個数を計測する、各社の機械原理がそれぞれ異なるからです。

レーザー回折による散乱法が一般的ですが…

 

 で、何を測っているのか?ということも実は明確ではありません。

なぜなら「目に視えないサイズ」のものを計測しようとしているのですから…

 

純粋に、微細気泡のみを測っているかといえば、それは『わからない』のです。

実は、細かい粒子であれば(例えば砂や埃、ゴミでも)個数としてカウントしてしまいます。

 

業界的には、お金を払って、その(自社)製品で作った水を「計測して」

もらっているのです。なので、使用する水が、純水か雑用水か、

によっても違いますし、計測する度に気泡の個数も2ケタ~4ケタ、普通にずれます。

 

同じ水を同じ条件で測定しても。

 

国内では有力な装置が3つほどあるのですが、

片方の機械で 10個~10個、

もう一つの機械では、10個~10個と、

10個もずれます。つまりは、

 

10000個 (1万個) ⇔ 100000000個 (1億個)

 

ずれるのです。 これ、バラツキが大きすぎて信憑性がありませんよね。

 

 各社の計測技術を否定するものではありません。

日進月歩、技術の進歩はめざましいものがあります。

しかしながら、ここにはビジネス的要素が入っているのでご注意を。

 

各社がうたう、〇〇億個 の表現は、売りやすくするための印象付けがほとんどです。

 

ここまで、きちんとした内容を理解しているメーカーなら、3社の機械で比較して、

平均化して「あくまでも目安です」、という注意書きをするのが、

消費者に対して親切丁寧な情報です。

でも、このような書き方をすると、イメージが下がり、製品が売れなくなりますからね…。

なんとも皮肉なことです。

 

なので、現時点で評価基準が定まっていないので、

〇〇億個、という表現は、あまり意味のもたない(影響がない)情報ということがわかります。

 

 

 いかがでしたか?

 

今回は、気泡の個数についての効果や信憑性について、

少しまとめてみました。解析装置のバラツキは今後の発展に期待して…

 

 きちんとした製品を選びたいものです。

 

この記事を書いた人

佐藤 嘉

研究者、エンジニア、発明家。博士(工学)。岩手大学大学院、東北大学大学院修了後、同大学金属材料研究所の研究員を経て帰郷。 地元民間企業を経験した後、地元の私立・県立工業高校、国立高専で教鞭を執る。専門は材料工学(金属、粉末冶金)。 現在、技術コンサルタント業などフリーランスとして活動する傍ら、マイクロバブル関連技術の啓蒙活動をはじめ、これらの設計・製造・開発業務を行う。他、3Dプリンターを駆使した製品の製造を手掛ける。 山形県鶴岡市在住。日本金属学会会員。日本高専学会会員。

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